2009 Fiscal Year Annual Research Report
食料品店・飲食店に関する全国規模の地理的情報データベースの開発と疫学研究への適用
Project/Area Number |
21700750
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 健太郎 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (00466731)
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Keywords | 栄養学 / 環境 / 食品 / 社会医学 / 疫学 |
Research Abstract |
日本全国の電話帳データ(個人名を除く。約770万件)を用いて、食環境のデータベースの開発に手した。しかし、データ量と作業量が膨大であり、また、電話帳データは毎年更新されていくことを考慮して、まずは、既存データ(約300の市区町村に居住する約1000人の女子大学生の横断研究のデータ)の解析に必要とされる地域のみ(約137万件)について、この作業を行った。 電話帳データのうち、重複している店舗情報を削除したうえで、店舗の住所情報(および各対象者の自宅住所情報)を、アドレスマッチングを用いて緯度・経度情報に変換した。また、それぞれの店舗を、店舗名をもとに、事業所・企業統計調査産業分類に従って分類した。今回使用した分類は、百貨店、総合スーパー/各種食料品小売業(スーパー/食料品店)、食肉小売業(肉屋)、鮮魚小売業(魚屋)、野菜・果実小売業(八百屋)、菓子・パン小売業(駄菓子屋/パン屋)、米穀類小売業(米屋)、コンビニエンスストア(コンビニ)、および外食店(レストラン、喫茶店など)である。各対象者の自宅から直線距離で0.8km以内に存在する食料品店および飲食店の店舗数を算出し、この変数を近隣の食料品店および飲食店の利用可能性(neighborhood availability)とした。 このようにして開発した食環境データと既存の女子大学生のデータセットを用いて、食環境と食品および栄養素摂取量(自記式食事歴法質問票および24時間畜尿による)との関連を検討した。考えられる交絡要因を調整した結果、近隣に駄菓子屋/パン屋が多いほど、尿中カリウム排泄量が少なく、尿中ナトリウム・カリウム比が高かった。また、米屋が多いほど、カリウム排泄量が少なく、スーパー/食料品店が多いほど、カリウム排泄量が多かった。さらに、八百屋が多いほど、ナトリウム・カリウム比が低かった。一方、近隣の外食店の店舗数と食事摂取量とのあいだには明確な関連はみられなかった。
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