Research Abstract |
本研究の目的は,文章の適確な理解に基づき,文章中の知識や既有知識を関連づけながら,自分の意見や解釈を新たな知識として構築する能力としての批判的読解力を育成することである.とくに単一の文章ではなく,複数の文章を読解した上で,その内容を有機的に比較吟味・統合することを通して,批判的読解力を高められるように,eJournalPlusの機能拡張を行い,それを活用した学習環境を構築し,実践的に評価することを目的とする. 平成21年度は,以下のような研究活動を実施し,成果を挙げた. 1.本研究に関連して,最先端の研究動向,実践動向を調査するため,CSCL2009,EDUCAUSE Learning Initiative 2010に参加し,情報収集するとともに,国際的先端性を確保するため,意見交換を行った. 2.研究動向を踏まえた上で,eJournalPlusの複数文章対応について仕様策定を行うとともに,機能拡張のためのシステム開発を行った.このシステムについてはMicrosoft codeplexにおいて無料で公開している. 3.少人数での稼働試験を行い,動作に支障がないことを確認した.また,学習プロセスにおいてどのように統合が生じているかを検討するため,発話思考法を用いた実験を行った.現在,発話思考法によるプロセスデータの分析を行っているところである. 4.国際会議CSCL2009にて本研究の内容について発表を行ったところ,内容が評価され,Best Technology Design Paper Award(最優秀技術設計研究賞)を受賞した.この会議を主催する国際学習科学会では,日本人初の受賞者となった. 5.批判的読解を含むアクティブラーニングを支援する学習環境のあり方について,共著書2本にまとめて出版した.
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