2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710034
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西本 壮吾 Ehime University, 沿岸環境科学研究センター, グローバルCOE研究員 (70392066)
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Keywords | 免疫 / 農薬 / 環境化学物質 / アレルギー / 環境リスク / サイトカイン / 健康 / エンドサルファン |
Research Abstract |
本研究の目的は、「食と安全」の観点に立ち、残留農薬等に汚染された食物を摂食した場合、生体にどの様な影響を及ぼすか、細胞及び個体レベルで検討し、リスク評価に役立てることである。日本では使用が禁止されているが、諸外国で使用されている農薬系化学物質であるエンドサルファンについて、マウス免疫系に焦点を当てて影響評価を行った。エンドサルファンは2種類(α及びβ)の光学異性体が存在するが、ヒト型ハイブリ。ドーマHB4C5細胞のIgM産生を抑制し、かつ弱い細胞毒性を示したβエンドサルファンについて検討した。マウス脾臓及び腸間膜リンパ節由来のリンパ球に対するβエンドサルファンの影響を検討した結果、脾臓リンパ球はIgM、IgG、IgA各クラスの抗体産生を濃度依存的に抑制した。一方で、腸管リンパ節リンパ球は、各クラスの抗体産生応答に差異が生じた。βエンドサルファンの生体影響評価のだめ、マウスに2週間経口投与したところ、脾臓リンパ球のIgM、及びIgG産生が有意に抑制されるだけでなく、インターフェロンγ産生も抑制されることを確認した。加えて、脾臓の萎縮が認められ、免疫機能を低下させる可能性が示唆された。また、βエンドサルファントアレルギー応答の関連について検討を行った。卵白オボアルブミンの腹腔内投与により、アレルギーを誘発したマウスにβエンドサルファンを4週間経口投与した。その結果、血清中の抗原特異的IgE、及びIgG1の産生を促進した。また、血清中のインターロイキン4量は有意に増加し、脾臓リンパ球もインターロイキン4産生促進を示した。さらに、ラット好塩基球由来RBL-2H3細胞の細胞内顆粒放出を指標に、βエンドサルファンのアレルギー応答誘導性を評価したところ、濃度依存的に細胞内顆粒を放出した。以上の結果から、βエンドサルファンはアレルギー状態を、より悪化させる影響を及ぼすことが示唆された。
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Research Products
(10 results)