2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710034
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西本 壮吾 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, グローバルCOE研究員 (70392066)
|
Keywords | 免疫 / 農薬 / 環境化学物質 / 精子形成 / 環境リスク / テストステロン / 健康 / エンドサルファン |
Research Abstract |
本研究は「食と安全」の観点から、残留農薬等に汚染された食物を摂取した場合、私達の体にどの横な影響を及ぼすかを検討・予測し、健康リスク回避のために役立てることである。既に日本では使用が禁止されているが、安価なため諸外国で現在も使用されている農薬系化学物質であるエンドサルファンについて、平成21年度に引き続き、マウス免疫系に焦点を当てると共に、生殖系への影響評価を行った。エンドサルファンは2種類(α及びβ)の光学異性体が存存する。免疫細胞の表面に存在するエストロゲンレセプター(ER)は、免疫調節機能に関与し、細胞からの分泌タンパク質を制御している。エストロゲン応答細胞株にエンドサルファンを添加したところ、エンドサルファンはエストロゲン活性を示す結果が得られた。つまり免疫細胞では、分泌タンパク質に対して過剰な制御が起こっていることが示唆された。その一方で、精巣や副腎で生合成されたテストステロンは、酵素によってエストロゲンに変換されることが知られている。エンドサルファンは、分泌タンパク質の産生制御だけでなく、性ホルモンの合成経路にも影響を及ぼすことが予測された。α-エンドサルファンを4週間経口投与した雄マウスは、精子数が30%減少しただけでなく、頭部や尾部に形態異常を起こした精子が約2倍増加した。さらに、投与雄マウスの血清中テストステロン濃度は、約60%抑制された。エンドサルファンは、生体内でテストステロン合成を抑制した結果、精子形成 に障害を与え、結果的に精子数の減少や形態異常精子の増加を引き記こしている可能性が示唆された。エンドサルファンは免疫系だけでなく、生殖系においても悪影響を及ぼすことが明らかになった。
|
Research Products
(13 results)