2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製及び転写に対するDNA-タンパク質クロスリンク損傷の影響
Project/Area Number |
21710059
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 敏彰 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (10526122)
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Keywords | DNA-タンパク質クロスリンク損傷 / DNA複製 / 転写 / DnaB |
Research Abstract |
本研究の目的は、DNA複製及び転写に対するDNA-タンパク質クロスリンク損傷(DPC)の影響を明らかにすることである。平成21年度は、これまでに申請者が確立したDPC選択的導入法を用いDPCを含む基質を構築し、試験管内反応を行うことにより、複製フォークの先頭で働くヘリカーゼに対する影響を検討した。原核生物の複製ヘリカーゼDnaBでは、ラギング鎖にDPCがある場合、クロスリンクタンパク質のサイズが6.8kDa以下ではヘリカーゼの進行は阻害されなかったが、これより大きいタンパク質ではヘリカーゼの進行が阻害された。つまり、DnaBの進行はクロスリンクタンパクのサイズ依存的に阻害されることが明らかとなった。一方、リーディング鎖にDPCがある場合、クロスリンクタンパクのサイズに関わらず、DnaBの進行は阻害されなかった。環状6量体構造を形成したDnaBがラギング鎖を取り囲むように結合し、二本鎖DNAを解離しながら複製フォークが進行するモデルが提案されている。この環状構造のホールサイズをクロスリンクタンパク質がすり抜けられるかどうかで進行の阻害が生じるか決まると考えられる。そのため、ラギング鎖においては、環状構造をすりぬけられるサイズのタンパク質は阻害を示さず、それ以上大きいタンパク質ではヘリカーゼとの立体障害のため阻害を示したと考えた。一方、リーディング鎖はDnaBの環状構造のホールを通らないため、DPCとの立体障害が起こらずヘリカーゼの進行が阻害されなかったと考えた。
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