2009 Fiscal Year Annual Research Report
1分子光捕捉を目指したプラズモニックナノ構造の作製
Project/Area Number |
21710090
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 嘉人 Hokkaido University, 電子科学研究所, 博士研究員 (50533733)
|
Keywords | 金属ナノ構造 / 光放射圧 / 光局在場 / 金ナノダイマー構造 / 1分子トラッピング / 表面増強ラマン散乱 |
Research Abstract |
金属ナノ構造に光を照射すると、金属構造中に含まれる自由電子が光エネルギーを吸収することにより集団振動(局在表面プラズモン)を始め、その結果金属ナノ構造の表面近傍のナノ領域に極めて高い光局在場が生じる。この光局在場では極めて大きな光放射圧(電場勾配力)が分子やナノ物質に働くことが予想される。そこで、時間領域差分法(FDTD)を用いて金属ナノ構造近傍の電場分布を計算し、光放射圧が働く領域と場所毎に働く光放射圧の強さを見積もった。その結果、1.光増強度の高い構造は光の局在特性も高く一度光捕捉した分子の閉じ込めは大きい一方、光放射圧が働く領域が極めて小さくなる、2.光増強度の低い構造は光の局在性も低く、光放射圧が働く領域は広くなるが分子に働く光放射圧の大きさは小さくなることがわかった。そこで、金ナノダイマー構造のギャップ距離が小さくかつその距離を緩やかに変化する金ナノ構造を提案した。 提案した金属ナノ構造を電子線ビームリソグラフィで作製するにあたり、電子線描画の条件、現像条件、金属蒸着条件、リフトオフ条件等の最適化を行った。現在の所高い再現性は未だ得られないものの2ナノメートル以下の精度で金ナノ構造のギャップを作製することに成功している。広い入射波長に対応するために、多様なサイズのナノ構造作製条件も模索している。 来年度はFDTDを用いて構造の最適化を進めると共に電子線ビームリソグラフィでナノ構造を作製し、その電場分布と光放射圧を直接観察するためにAFMと光学顕微鏡を組み合わせた装置を構築する。
|