2010 Fiscal Year Annual Research Report
1分子光捕捉を目指したプラズモニックナノ構造の作製
Project/Area Number |
21710090
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 嘉人 北海道大学, 電子科学研究所, 博士研究員 (50533733)
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Keywords | 金属ナノ構造 / 光放射圧 / 光局在場 / 金ナノダイマー構造 / 1分子トラッピング / 表面増強ラマン散乱 |
Research Abstract |
昨年度に提案したナノ構造のギャップモードプラズモン局在場におけるナノ粒子の光捕捉シミュレーションを、FDTD法にMaxwell応力法を導入することにより行った。その結果、入射レーザー強度を1MW/cm^2に設定した場合、直径5nmのシリコンナノ粒子に約10pNの力が働き、熱運動エネルギーkTよりも遥かに大きい光圧ポテンシャル井戸に10nm以下の位置精度でナノ粒子を捕捉できることが見積もられた。 ギャップモードプラズモン光局在場を観察することに特化した散乱型近接場顕微鏡を開発し、昨年度に提案した金ナノ構造を電子線ビームリソグラフィで作製し光局在場測定を行ったところ、約9nmの極微小光局在スポットの観察に成功した。また、同時に測定した位相像を解析したところ、走査プローブにプラズモン共鳴特性に応じて変化する光放射圧が働いていることがわかった。この結果はプラズモン光放射圧を直接測定した初めてのものである。 複数のナノギャップ構造をガラス基板上に作製し、直径1μm、350nmのポリスチレンナノ粒子の光捕捉実験も行った。光照射領域内にあるナノギャップ構造において、ナノ粒子をパラレルトラッピングすることに成功した。このときの光照射強度は従来の集光レーザーを用いたナノ粒子の光捕捉に比べ4桁も小さく、1MW/cm^2のレーザー光照射によって数nmのナノ粒子をも捕捉できることが期待された。さらにサイズや配向の異なるナノギャップ構造を作製して同様の実験を行ったところ、それらの局在プラズモン共鳴特性に依存したナノ粒子の光捕捉ができることを明らかにした。
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