2009 Fiscal Year Annual Research Report
スペックル時間相関分光法で調べる強誘電ナノドメインの空間・時間相関
Project/Area Number |
21710099
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大和田 謙二 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60343935)
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Keywords | コヒーレントX線 / スペックル時間相関分光法 / リラクサー / ペロヴスカイト / 強誘電ドメイン / 時空間相関 |
Research Abstract |
Lead-free実現へ向け再度鉛ペロヴスカイトに立ち返り、その物性発現の基礎を強誘電ナノドメインに着目して理解する事を目的とし、鉛リラクサーの(1) 強誘電ナノドメインと物性の関係、(2) 強誘電ナノドメインが配列したときに現れる物性値向上の起源、(3) ドメイン配列の鍵となる要素を明らかにする。 H21年度は、Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-9%PbTiO_3の温度変化実験を詳細に行うことで、強誘電ナノドメインと物性(特に低周波誘電応答)との関係につき、以下の点を明らかにした。強誘電ナノドメインと物性値向上の起源を考える上て重要な結果である。 1. 100nmレベルにまで集光したコヒーレントX線を利用することで、強誘電ナノドメイン由来のX線散乱強度の時間ゆらぎを計測することが可能となった。その結果、ナノスケール強誘電ドメインが非常にゆっくりと揺らいでいる様子が観測された。このゆらぎは低周波誘電応答(誘電緩和)に関係していると考えられる(目的(1)に対応)。誘電率とX線散乱実験を同時に行うことで、両者の対応関係に関して曖昧さなしの議論がはじめて可能になった。 2. 平行コヒーレントX線を利用することで得られたスペックル散乱パターンのフーリエ変換から、ドメイン温度変化の様子が観測された。温度低下と共に個々のドメインが成長し配列しつつマージしてゆく様子が確認された。スペックル散乱の観測対象が主として格子歪みである事から、配列のかぎとなるひとつの要素が歪み場を介した相互作用であると考えられる(目的(3)に対応)。
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