2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子の認識能を利用した固体表面のナノスケール組成分析プローブ顕微鏡技術の開発
Project/Area Number |
21710103
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 智広 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (30401574)
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Keywords | 表面科学 / ナノバイオ / 生体分子 / プローブ顕微鏡 |
Research Abstract |
多種の材料により形成される複雑なナノ構造を持つハイブリッドナノデバイスへの注目を集めている。それに対応して表面、物質の構造とその化学組成を同時に観察する技術の重要性が高まっている。エネルギー分散形X線分光器(EDX)と走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは電子エネルギー損失分光法(EELS)と透過型電子顕微鏡(TEM)の複合システムはナノサイズの構造を有する材料の形状、化学組成を同時にモニターできる強力な手段である。しかしながらこれらの手法では測定は高真空中で行われ、試料も真空環境への互換性が要求される。それ故これらの手法を電気化学、あるいはコロイド界面化学など、溶液環境下でのその場観察を行うことは出来ない。一方、走査型プローブ顕微鏡は真空中、大気中、溶液甲など様々な環境下での測定が可能であるが、局所的な化学組成・化学状態の分析には適さない。本研究では近年注目を集めている「特定のターゲット材料に特異的に吸着するペプチド」を応用し、水溶液環境下におけるナノスケールの化学組成分析技術の確立を目指した。 当該年度ではTiを認識するペプチドで修飾した原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、水溶液中いで固体表面を走査することで、Tiを含む領域とそれ以外の領域を明確に区別することに成功した。本研究成果は水中でナノスケールで化学組成分析を行った初めての例である。さらにTiとTi認識ペプチド間の単一分子の相互作用測定も行い、その結果から水中における弱い静電気的相互作用、水素結合などを利用して表面の化学分析を行うには高い負荷速度での測定が適しているという知見を得た。
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Research Products
(14 results)