2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂本 雅典 Osaka University, 産業科学研究所, 特任助教 (60419463)
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Keywords | 金属ナノ粒子 / 三次元加工 / 2波長2レーザー |
Research Abstract |
(1) 光によって直接的に三次元構造を形成する技術は、高価なフォトマスクや手間のかかる操作を伴わずに複雑な加工を行うことができるため、さまざまな用途への応用が期待されている。 我々は、独自の三次元光加工技術として異なる二つの波長のレーザーを用いる方法を開発している。この方法は二つの波長の光を吸収したときにのみ進行する特殊な光増感反応を利用しているが、従来の反応は光照射により増感剤が分解するため、効率的ではなかった。そこで、2009年度はより効率的な光増感反応として、二つの光によって推進される還元サイクルの構築を試みた。この機構においては、光照射により光増感剤が再生するため、繰り返し使用することができ、効率的に三次元加工を行うことができる。また、実際にこの光増感反応により金属イオンが還元されることを確かめた。 (2) 金クラスターは発光や触媒活性等の様々な有益な性質を示すため、多くの注目を集めている材料である。しかしながら、不安定な金属クラスターの合成は困難であり、方法は限られていた。 我々は高分子薄膜中で金イオンを光化学的に還元することによって、直径2nm以下の金クラスターを選択的に合成することに成功した。また、単一分子蛍光顕微鏡を用いて金クラスターの光反応性を観測することにより、金クラスターの励起状態が酸素に対して高い反応性を示すことを見出した。 我々の開発した方法を用いることによって、高分子中での様々な金属クラスターの作成が可能になる。また、今回の研究で明らかになったクラスターの光学特性や反応性は、様々な材料への応用の可能性を示すものである。
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