2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分子デバイスを目指したナノコンポジット熱起電力測定素子の開発
Project/Area Number |
21710115
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
桐原 和大 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 研究員 (70392610)
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Keywords | ナノ計測 / 熱起電力 / 熱電変換 / ナノコンポジット / 分子デバイス |
Research Abstract |
本研究では、測定対象の分子に強電界などのストレスをかけずにその伝導性や電子構造を知る新しい分子デバイスとして、有機分子の熱起電力を測定する素子を構築する。21年度は、微小領域の熱起電力を測定するための、微細電極加工技術(電子線リソの条件など)を確立し、専用の計測用真空プローバーを自作し完成した。微細電極として熱酸化シリコン基板上にマイクロヒータ及び高温側・低温側の2つの4端子電極細線を加工した。マイクロヒータに電流を加えて、2つの4端子電極細線の間に温度差を与え、これらの細線間の起電力を測る。2つの細線間に金属ナノ粒子コンポジットを形成すれば、その領域で生じる熱起電力が測れる。熱起電力の測定のテスト及び測定精度の確認のため、2つの細線間に半導体ナノワイヤを配置して熱起電力測定を行った。数Kの温度差を与えて、高々数十μVの熱起電力を測定する実験であるが、特に1本のナノワイヤから生じる熱起電力はノイズに埋もれてしまい計測が困難である。そこで、2ω法と呼ばれる交流加熱法を採用した測定の結果、ノイズに埋もれることなく高精度な絶対Seebeck係数(室温で+63μV/K)の測定結果を得た。この高精度な測定技術は金属粒子ナノコンポジットに架橋させた有機分子の場合にも有効であると考えられる。この成果を生かして今後、測定システムへのナノコンポジット薄膜の製膜及び有機分子の固定化を進め、熱起電力測定が可能かどうかを確認し、分子と電極の接触や結合性が及ぼす効果などについての結果を得て、知見をまとめていく予定である。
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Research Products
(1 results)