2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21710116
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
越野 雅至 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノチューブ応用研究センター, 研究員 (00505240)
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Keywords | 2量化 / 化学反応 / フラーレン / カーボンナノチューブ / 複数分子 / 電子顕微鏡 / 収差補正機構 |
Research Abstract |
本研究は,個々の分子をナノ構造体へ導入し,分子どうしの反応を直接観察する手法を開発することを目的として開始した.具体的には気相法や液相法など様々な状態でナノ構造体の内部あるいは外部へ分子を導入する手法を開発するとともに,ナノチューブなどの直径を変化させてナノ空間の自由度を広げたり,さらには異種の分子を効率的にナノ構造体へ導入するための装置を準備し,複数の分子を様々な大きさのナノ空間へ導入する方法を検討している.同種のC_<60>分子はこれまで1次元的に配列することが知られていたが、C_<60>やC_<82>など異なる大きさのフラーレンを同じチューブ内に配置することに成功した報告例はまだなかった。申請者は、大きさの異なるフラーレン分子を直径が十分に大きなカーボンナノチューブを用い、気相法でチューブの内部に導入することを検討した。様々な大きさのフラーレン分子が混在する粉末試料とあらかじめ開口処理をした直径の大きなカーボンナノチューブをガラス管の中へ真空封入した後、加熱昇華させることにより、大きさの異なるフラーレン分子をチューブ内部へ導入可能とした。これら異種の分子が同じチューブ内に存在することを電子顕微鏡で観察することに成功した。さらにこれら大きさの異なる分子同士が電子線照射により融合反応を行う際には、ある特定の分子面が反応しやすいことも明らかになった。この成果は2010年発行の学術雑誌Nature Chemistryに報告し、産総研、東大、科学技術振興機構のウェブサイトでプレスリリースされた他、新聞4紙に記事が掲載された。
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