2011 Fiscal Year Annual Research Report
SCMから見たエネルギーシステムの成立性と最適化に関する研究
Project/Area Number |
21710152
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
亀井 敬史 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (80437269)
|
Keywords | サプライチェーン・マネージメント / レアアース / トリウム / 原子力 / 電気自動車 |
Research Abstract |
【内容】平成23年度は、これまで対象としてきた先進的原子力や低炭素自動車を中心に種々のエネルギー供給・需要技術の他、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電)の社会実装時に関連するマテリアルの入出在分析を行った。対象とするマテリアルの内、外部不経済すなわち環境汚染源となりうる物質の内部化による汚染回避の枠組みを構築するため、従来型原子力も対象に加えた。放射性物質による環境汚染対策の枠組みとして、新たに「原子力環境マテリアル戦略(Nuclear Environment&Material Strategy: NEMS)」を構築した。本戦略により、従来型原子力の放射性廃棄物の内、レアアースの内部化を行ったが、これが供給する物量は今後の総需要量よりもはるかに小さく、レアアースの生産とそれに伴うトリウムの発生は引き続き行われることが明らかとなった。トリウムの内部化のための枠組みとしての「トリウム銀行」の詳細設計を進め、トリウムだけでなく、使用済み核燃料からのレアアースなどの保管を行うことを検討した。本研究で得られた成果は、国内外の学会で公表するとともに書籍としても刊行し、公衆への周知に努めた。 【意義】エネルギーシステムが温暖化対策において求められるのは低炭素化のみではなく、これらを生産・利用する際のマテリアルの需給バランスであり、特にそこから発生する環境汚染物資の社会許容量の超過の回避は持続可能なエネルギーシステムにするうえで重要であり、そこに本研究の意義がある。 【重要性】本研究ではエネルギー需給システムの中心にあるレアアースの需給バランスを踏まえ、その生産時に発生する環境汚染源としての放射性物質トリウムに着目している。トリウムの汚染防止については国際的にもなされておらず、国際的な枠組みの提言まで構築していることは、世界で有数のレアアース消費国としての我が国の国際社会における責任の取り方について非常に重要性が高い。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度で計画していた、エネルギー技術として再生可能エネルギー(太陽光発電など)も対象とし、その装置の生産時に利用される資源としてレアアースを考慮し、その世界全体での定量的評価を2050年までの時間軸で行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成24年度にはエネルギーシステムの入力パラメータのサーベイによるシステムの最適化を実施する。特に、社会の在庫許容量を指標に、最適化を図る。本研究課題は平成24年度までであるが、これまで得られた知見・方法論をさらに詳細化を進め、特に国際的な枠組みを元に、個々の国レベルでの最適化への適用を進める。
|
Research Products
(7 results)