Research Abstract |
本研究では,ドライバが普段以上に車間時間をあけて追従走行(3秒~4秒程度)している状況に焦点をあて,追突の緊急性をパラメトリックにかえた場合,すなわち,追従中の車間時間,先行車減速度の条件をかえたことによって,脇見の仕方がどのように異なるかを運転シミュレータによる実験により検討した.さらに,これまで検討してきたSDAにもとづく追突警報を呈示した場合の追突リスクへの影響を検討した.その結果,以下の点を明らかにした. ・短い車間時間で追従している場合と比較して,長い車間時間で走行している場合に脇見の継続時間が長くなり,結果として先行車の減速に対する反応が遅れる可能性がある. ・今回の実験で用いた警報ロジックによって警報を呈示した場合,警報呈示による脇見の継続時間への影響は,先行車追従中の車間時間によって異なる可能性がある.すなわち,車間時間が1.6秒程度と比較的短い状態で追従走行している場合には,警報呈示により脇見の時間が短くなる.一方,車間時間が3.0秒程度以上の場合には,警報呈示によって,脇見時間を著しく短くする効果は小さいものの,警報が呈示されない状況と比較して,極端に長い脇見(例えば4秒以上)を抑制できる可能性がある. ・脇見状態で先行車が急減速する状況について,本実験で用いた警報ロジックによって警報を呈示した場合,追突リスクを低下させる効果は,比較的短い車間時間(1.6秒程度)で先行車に追従していた条件において顕著となる. 長い車間時間で追従している状況であっても,そのことによって長い脇見が誘発され,先行車の急な減速に対して追突リスクを高める可能性があることを実験的に明確化させたことに本研究の意義がある。また,本研究の結果から,追突警報に有効性を確保する上で,追突の緊急性に応じて警報ロジックを調整する必要性が示唆される.
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