2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型天然物の生合成再構築による構造多様性の創製
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21710222
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久城 哲夫 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 助教 (80373299)
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Keywords | メロテネプノイド / 糸状菌 / 生合成遺伝子クラスター / ピリピロペン / ポリケタイド合成酵素 / プレニル基転移酵素 / CoA ligase |
Research Abstract |
本研究では、糸状菌Aspergillus fumigatusの生産するメロテルペノイド、ピリピロペンの生合成遺伝子の同定と機能解析を目的とした。ピリピロペンは、強力なACAT阻害活性を有しコレステロール低下剤としての応用が期待される化合物である。その生合成は、ニコチン酸由来のCoA体をスターター基質とするピロン体の生成に始まり、これにファルネシル基の付加、末端二重結合のエポキシ化、そしてテルペン部分の環化反応を経て基本炭素骨格が構築されると考えられる。そこで、A.fumigatusゲノム配列中に見出されたポリケタイド合成酵素(PKS)ならびにプレニル基転移酵素(PT)の両遺伝子を含む遺伝子クラスター中のPKS(pyr2)の機能解析を行った。本PKSの反応にはニコチン酸のCoA体が必要であるため、CoA ligase(CL)と思われる遺伝子(pyr1)も共に発現させた。A.oryzae M-2-3株を用いた異種糸状菌発現系を用いてニコチン酸投与下これら遺伝子を共発現し、機能解析を行ったところ、ピリピロペン生合成中間体であるピロン体(4-hydroxy-6-(3-pyridinyl)-2H-pyran-2-one(HPPO))を生成することが明らかとなった。次に、同じ発現系を用いてCL、PKSならびにPT(pyr6)遺伝子の3遺伝子共発現を試みた。その結果、これら遺伝子を導入したホストA.oryzaeにおいて、HPPOにファルネシル基の付加したfarnesyl-HPPOが生成されることが明らかとなった。さらに、FMO(pyr5)の機能解析を行った。本発現系での4遺伝子共発現は困難であったため、PTとFMOの共発現体にHPPOを投与することにより解析した。その結果、目的とするエポキシ体は得られず、エポキシ体が加水分解されたジオール体のみが得られた。
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