2010 Fiscal Year Annual Research Report
動物における乾燥耐性・極限環境耐性機構のプロテオーム解析
Project/Area Number |
21710223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國枝 武和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10463879)
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Keywords | 極限環境耐性 / クマムシ / 抗凝集性 / 円偏光二色性 / タンパク質 / クロマチン / 放射線耐性 |
Research Abstract |
本研究では、クマムシの耐性に関与する候補タンパク質を機能プロテオミクスにより同定し、解析を進めている。本年度は、昨年度ヨコヅナクマムシより同定した新規な抗凝集性タンパク質のうち3種について円偏光二色性スペクトル解析により、これらのタンパク質が持つ2次構造の含量を測定した。これらのスペクトルは熱処理によって変化しなかったが、界面活性剤・有機溶媒添加により大きく変化し、構造が変化することが分かった。また、こうした抗凝集性タンパク質を、乾燥耐性能力が弱い、もしくは無い別のクマムシ種から探索した結果、ヨコヅナクマムシと同じ目に属する種については高温における抗凝集性と乾燥耐性との間に相関関係が見られることが分かった。 また、クマムシは活動状態においても高い放射線耐性を持つことから、放射線の主要な障害標的であるDNAを保護・修復する能力が高いことが想定された。この能力に関わる候補タンパク質を同定する目的で、クマムシからDNAを含むクロマチン分画を分離し、この分画に選択的なバンドについて質量分析により候補タンパク質群を同定した。これらの候補群から、gfp融合タンパク質として培養細胞に発現させた時にDNAと共局在するタンパク質を1つ見出した。このタンパク質は既知のドメインを持たず、相同な配列を持つ既知タンパク質も見出されなかったことから、クマムシ固有のタンパク質と考えられた。クマムシの放射線耐性に関わる良い候補タンパク質を同定できた可能性がある。
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Research Products
(4 results)