2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経突起伸長作用を持つコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸糖鎖の合成と活性評価
Project/Area Number |
21710233
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
若尾 雅広 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (20404535)
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Keywords | 糖鎖 / 生理活性 / 有機化学 / 神経科学 |
Research Abstract |
生体中で広く分布している硫酸化グリコサミノグリカンの一群であるコンドロイチン硫酸(CS)とデルマタン硫酸(DS)は、組織の形態形成をはじめ、細胞の分化・増殖、免疫応答、微生物感染などの様々な生体作用に関与している。神経細胞においては、突起伸長の促進と阻害の相反する作用を持つことが知られており、非常に興味深い特徴を持つ糖鎖である。近年、神経突起伸長作用には、高硫酸化領域のCS/DS部分構造に見られるCS-D(ユニット)とDS-D(iDユニット)が重要であることが示唆されており、本研究では、CS/DS構造と機能を詳細に解析するため、DユニットとiDユニットを含むCS/DS系糖鎖の化学的合成と生理活性評価を目的とした。 平成22年度は、DユニットならびにiDユニットを含む六糖体の合成を目指して検討した。その結果、設計した二糖中間体を用いた糖鎖伸長が効率良く進行しないことが分かった。そこで合成素子となる単糖成分および共通二糖中間体の再設計と再合成を検討した。単糖成分であるガラクトサミン(GalNAc)成分はガラクトサミン塩酸塩から、グルクロン酸(GlcA)成分はグルコースから誘導することができた。また、イズロン酸(IdoA)成分については、合成過程で困難を伴ったもののグルコースから誘導することができた。続いて、GlcA-GalNAc配列またはIdoA-GalNAc配列を有する共通二糖中間体の合成を行った。これらの共通二糖中間体は、GlcA成分またはIdoA成分とGalNAc成分から簡便に行うことができた。次に、得られた共通二糖中間体を用いて糖鎖伸長反応について検討した。その結果、好収率で糖鎖伸長が可能であることが分かった。今後、反応条件の最適化、六糖体への誘導、生理活性評価を行う予定である。
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