2010 Fiscal Year Annual Research Report
疫病菌卵胞子誘導機構解明を目指したα1を基盤とするケミカルバイオロジー
Project/Area Number |
21710239
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
矢島 新 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (30328546)
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Keywords | 疫病菌 / ケミカルバイオロジー / 有機合成化学 |
Research Abstract |
本研究では疫病菌の新規防除法を開発する為に、疫病菌の有性生殖に着目し、そのメカニズムをケミカルバイオロジー的な手法により明らかにすべく検討を行った。その過程において、疫病菌の有性生殖においてA2株が放出しA1株に卵胞子形成を誘導するa2が単離同定された。平面構造はNMRスペクトルにより明らかにされたが絶対立体配置は未定であった。そこでa2の立体化学を決定する目的で、a2の可能な4種の立体異性体をスルホンカップリングを鍵段階として合成することに成功した。合成品の生物検定を行ったところ、ただ一つの立体異性体のみに活性があることを見いだし、天然物の絶対立体配置を決定することができた。興味深いことにa2の絶対立体配置はa1と同様であることから、a1とa2の生合成にある種の共通性がある可能性が示唆された。a2はa1よりも単純な構造を有しており、合成が比較的容易であった為、合成したa2を化学プローブへと誘導して疫病菌の卵胞子形成に重要となる標的物質の探索を行う検討をした。a1の誘導体合成によって得られた知見に従って、プローブ化を行う足がかりを構築する為、a2の16位水酸基をアミノ基に変換した化合物や、水酸基をカーバマートに誘導化した化合物を合成した。それらの化合物の生物検定試験を行ったところ、a2はa1と異なり16位水酸基を誘導化すると活性が無くなるという知見が得られた。よってa2をリガンドとする化学プローブの合成は困難であると考えられる。次にa2の全合成に用いた手法を応用することにより、a1のより簡便な新規合成法の開発に成功した。本合成手法の開発により、a1の大量供給が可能となり、化学プローブの合成を容易とすることができた。a1をリガンドとする化学プローブの合成法は確立できたので、それらを用いて標的分子の解析を行うことが可能であると考えられる。
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Research Products
(1 results)