2010 Fiscal Year Annual Research Report
台湾における産業遺産の保存・活用とその社会的環境に関する調査研究
Project/Area Number |
21710264
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
河口 充勇 同志社大学, 高等教育研究機構, 研究員 (00469074)
|
Keywords | 東アジア / 産業遺産 / 台湾 |
Research Abstract |
22年度は、8月の台湾滞在時に、新竹地域の歴史的建造物の保存・活用に関わる取り組みを行なう市民グループ(竹掃把聯盟)のメンバー数名に対してインタビューを行ない、当地における産業遺産の地域文化資源としての可能性について情報収集、意見交換を行なった。また、産業遺産としての可能性をもつ旧台湾総督府天然瓦斯研究所現存施設(当地のハイテク産業の歴史的起源、本研究計画の主たるターゲット)に関する調査の一環として、その内部の視察を行なうとともに、同研究所の後身機関である工業技術研究院材料與化学工業研究所のスタッフ数名に対してインタビューを行ない、この歴史的建造物が後進機関においてどのように認識されているのかについて情報収集を行なった。 日本国内でも、9月に新竹ケースとの比較のため、長野県諏訪地域を訪問し、産業遺産保存・再利用の取り組みに関する視察を行なった。さらに、国会図書館や経済産業省図書館などで関連資料の収集を行なった。 22年度の後半はこれまでの現地調査、文検資料取集を通して得られたデータの整理・分析を行なった。その成果については、23年度に日本台湾学会(5月末)をはじめいくつかの学会で研究報告を行なう予定である。 最後に、22年度末をもって終了した本研究計画の意義に言及すると、21年6月に刊行した拙著『台灣〓谷尋根-日治時期台灣高科技産業史話』が一つのきっかけとなって、新竹市政府が産業遺産保存・活用の取り組みに注力するようになった。その第一弾として、新竹市政府は、旧日本海軍第六燃料廠跡地の保存・活用に関する事業計画を立案するとともに、中央政府国防部の関連助成計画(公募)に対して予算申請を行なった。申請の際には私が個人的に保有する旧日本海軍第六燃料廠関連の資料を提供した。この予算申請は成功し、23年度より事業がスタートする。私はアドバイザーとしてそれに参加し、継続的に参与観察調査を行なう予定である。
|