2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720015
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
城山 陽宣 関西大学, 東西学術研究所, 研究員 (90535543)
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Keywords | 中国哲学 / 東洋史 / 日本思想 / 書誌学 / 東アジア文化 / 中国文学 / 国文学 / 儒教 |
Research Abstract |
本研究は、東アジアにおける儒教を考える際に、その原点と末端、中心と周縁の双方に注意を払うことによって、中国・日本における儒教の展開と伝播を考察し、その本質を究明することを目指したものである。 まず、東アジア儒教の原点・中心研究では、日本中国学会・第六十二回大会において、「董仲舒対策の真偽説の再検討」と題する発表を行った。本発表では、董仲舒の対策文書に関する福井重雅氏の考証の方法について検討を行い、漢代思想史における董仲舒対策の位置付けについても言及した。 また、本年度の三月、日本中国学会第一回若手シンポジウム「中国学の新局面」において、「董仲舒対策とその周辺」と題する発表を行なった。董仲舒によって対策が行われた時期の周辺状況を、諸博士や五経博士の実態と武帝即位直後の今文・古文学派と諸子の情況を考察することを通じて、董仲舒対策第三策の「六藝之科・孔子之術」に対する新たな解釈を提示し、対策が当時の朝野にいかなる影響を与えたかについて検討を加えている。 次に、東アジア儒教の末端・周縁研究においても、研究成果の一部を発表している。 まず、「関西大学泊園文庫蔵自筆稿本目録稿-その(1)-」を提出した。筆者は、これまで全く手付かずであった藤澤東〓・南岳・黄鵲・黄坡先生の手稿の整理に着手しており、本稿はその第一弾で、以後自筆稿本目録完成まで順次発表していく予定である。 また、「明治初期における泊園書院の学術-自筆稿本資料を中心に-」と題する発表も行った。江戸末期から大正までの激動の時代を駆け抜けた藤澤南岳は、大阪の学問の顔であり、その実力は、東京帝国大学の教官に招聘されるほどであった。しかし、今日の藤澤南岳に対する研究はまことに寂寞たるものである。本発表では、藤澤南岳の蔵書思想を自筆稿本『名士九命草』の「藏書」を中心に解き明かすことを通じて、近代日本における民間の儒学・儒者の実態を明らかにすることを試みたのである。
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Research Products
(5 results)