Research Abstract |
(1)サーンナーイヤ及びアータンチャナの加工過程の解明と同定とを行った。以下の文献箇所の翻訳と,相互対照に基づく精査が中心となる:マイトラーヤニーサンヒターI 1,3及びIV 1,3;カタサンヒターI3及びXXXI 2;タイッティリーヤサンヒターI 1,3;タイッティリーヤブラーフマナIII 2,3;ヴァージャサネーイサンヒターI 2-4;シャタパタブラーフマナ(マーディヤンディナ派)I7,1,9-21;同(カーンヴァ派)II 6,2;マーナヴァ・シュラウタスートラI 1,3;バウダーヤナ・シュラウタスートラI 1及び3;アーパスタンバ・シュラウタスートラI 11-14;カーティヤーヤナ・シュラウタスートラIV 2,1-46。これらは新月祭・満月祭の本祭前日に行う準備祭の章に相当する。アータンチャナ(発酵促進剤,種菌)の代用品への言及を含んでおり,当時の多様な発酵乳製造法を明らかにする上での重要な資料ともなる。 (2)当時の牧畜を中心とする生活が宗教及び思想の基盤となる輪廻説に与えた影響を明らかにするため,「子供の誕生」を巡る議論の展開を,具体的な文献の記述の翻訳と精査に基づいて跡づけた:リグヴェーダ,アタルヴァヴェーダ,マイトラーヤニーサンヒター,カタサンヒター,タイッティリーヤサンヒター,タイッティリーヤブラーフマナ,シャタパタブラーフマナ,ジャイミニーヤブラーフマナ,アイタレーヤブラーフマナ,ブリハッドアーラニヤカウパニシャッド,ディーガニカーヤ,アヴァダーナシャタカ,チャラカサンヒター等。また,妊娠中の母胎の構造(卵膜:羊膜,絨毛膜,胎盤)と後産とに関する語彙に関する調査と考察から,当時の人々が持っていた医学的知識の内実を明らかにした。
|