2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘレニズム・ローマ期の哲学における「運命」論の全体像
Project/Area Number |
21720027
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
近藤 智彦 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (30422380)
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Keywords | 思想史 / 西洋古典 / 哲学 / 倫理学 |
Research Abstract |
本研究は、ヘレニズム・ローマ期にはじめて主題的に論じられ、その後の西洋思想にも大きな影響を与えた運命と自由意志の問題について、これまでの研究成果を踏まえつつ多角的に検討した上で、その全体像と哲学的・哲学史的意義の解明を目指すものである。本年度はその2年目として、昨年度に続いて個別的な研究と未邦訳文献の翻訳を進め、その成果を順次発表した。まず、新プラトン主義における運命と自由意志の問題をめぐる議論について重要な資料となるプロクロス『摂理、運命と自由について』の日本語訳・訳注を、田子多津子氏と共同でまとめ、その前半部を学会誌に発表し、後半部も完了させて学会誌に投稿した。ストア派の議論の哲学的・哲学史的意義の解明に関わる研究としては、自由意志と目的論の問題におけるストア派とスピノザの両者の立場を和解させる解釈の可能性を探った論文「自由意志と目的論の帰趨-ストア派とスピノザ-」を、学会誌に発表した。また、ストア派の立場を現代的な問題関心と絡めつつ論じ、その両立論の与える示唆が現代でもなお有効であることを論じた学会討議の報告「ストア派の三つの顔」を、学会誌に発表した。また、本研究に関連するヘレニズム・ローマ期の倫理学についても、ストア派のクリュシッポスによるプラトン『国家』の受容に関する研究を学会発表'Chrysippus' criticism of the theory of justice in Plato's Republic'で論じたほか、アカデメイア派のカルネアデスの反正義論を特にプラトン『国家』の受容と絡めて論じた研究発表(「カルネアデスの反正義論の射程」、'On the Plank of Carneades')を行った。
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Research Products
(6 results)