2010 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖劇における映画・演劇相互の関係性についての総合的研究
Project/Area Number |
21720049
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横田 洋 大阪大学, 総合学術博物館, 研究支援推進員 (50513115)
|
Keywords | 連鎖劇 / 演劇史 / 映画史 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、連鎖劇ならびに初期の映画と演劇に関わる資料の調査・研究を行った。早稲田大学演劇博物館所蔵の連鎖劇資料に関しては、早稲田大学演劇映像学研究拠点の共同研究者のメンバーと協力し、すべての資料の性格を改めて精査し、新たに詳細な情報を入力したデータベースを作成した。またその際、同資料に含まれる『底の響』という連鎖劇作品に関して演劇台本と映画台本という複数の資料から映画と演劇の関連性のあり方を指摘した。女優中村歌扇の検討を中心に連鎖劇の成立の関わる明治期の映画と演劇の関連性の調査・検討も引き続き行った。東京の浅草公園における「演劇類似」のさまざまな芸能が映画と演劇を組み合わせる試みと関連があることなどを論文「演劇類似の系譜-浅草公園六区の芸能と映画」で指摘した。また連鎖劇が同時代の評価あるいは歴史的な評価において非芸術的な芸能だとされていたことを念頭に置き、連鎖劇がその時代において文化的にどのような役割を果していたのか検討を始めた。これについては日本伝統音楽研究センターの研究会で「近代的芸術観と連鎖劇の本領」と題して発表を行ったが、この問題は連鎖劇の歴史的な議論全体に関わるものであり、来年度も引き続き検討を続ける。そして本年度は、これまでに行った連鎖劇に関わる研究をまとめた博士論文『連鎖劇の研究-明治・大正期の映画と演劇の関係をめぐって-』を大阪大学文学研究科に提出し、博士号を授与された。
|
Research Products
(1 results)