2011 Fiscal Year Annual Research Report
連鎖劇における映画・演劇相互の関係性についての総合的研究
Project/Area Number |
21720049
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横田 洋 大阪大学, 総合学術博物館, 助教 (50513115)
|
Keywords | 映画史 / 演劇史 / 連鎖劇 |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年度は、資料の収集・整理にあたるとともに連鎖劇をめぐる歴史的な問題にかかわる議論の整理を行った。昨年度に引き続き、早稲田大学演劇映像学研究拠点の共同研究者のメンバーの協力を得て、演劇博物館所蔵の連鎖劇資料の調査・研究を行い、また各務原市歴史民俗資料館所蔵の市川百十郎資料の整理を行った。これらの資料はその量の膨大さから、今後もさらにさまざま角度からの研究の対象として扱うことが可能である。本研究計画の終了後も引き続き調査を続ける予定である。また本研究の最終年度である本年は連鎖劇の歴史的な位置づけに関わる議論を集中的に行った。浅草で行われていた映画と演劇を組み合わせる興行が連鎖劇がつながることは昨年度まで続けていた研究であるが、その成果を論文として発表した。またその浅草で行われていた芸能が大阪で「連鎖劇」という名称で行われ、人気を得た過程を、特に初期の映画会社Mパテー商会系列の人脈によって設立された敷島商会という大阪の映画会社の関わりを中心に解明し、特に道頓堀における連鎖劇の衰退の過程を論文「山長から澤正へ-大正期の道頓堀の新興演劇-」で議論した。連鎖劇は同時代、特に芸術の純粋性、自律性を重んじる近代的な芸術観を持つ芸術化あるいは評論家から批判の対象となることが多かったが、その批判的な言説を数多く検証することで、逆にどのようにして連鎖劇が同時代の観客に受け入れられたのか、また連鎖劇独自の魅力がどこにあったのかを議論した。その成果は論文「近代的芸術観と連鎖劇」において発表した。
|
Research Products
(4 results)