2009 Fiscal Year Annual Research Report
シギズムンド・クルジジャノフスキイと演劇:ロシア・アヴァンギャルドと世界劇場
Project/Area Number |
21720055
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上田 洋子 Waseda University, 演劇博物館, 助手 (40505400)
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Keywords | 芸術諸学 / ロシア東欧文学 / 美学 / 美術史 |
Research Abstract |
本研究は作家シギズムンド・クルジジャノフスキイの作品に色濃く見られる《世界劇場》の感覚を同時代のコンテクストにおいて考察するものである。クルジジャノフスキイと同時代の演劇人のうち、メイエルホリドとタイーロフに焦点を絞り、彼らの演劇活動と理念をあきらかにしつつ、クルジジャノフスキイ作品の持つ演劇の問題と比較・考察をする。 本年度は、(1)クルジジャノフスキイの作品における《演劇》のテーマの再考(2)メイエルホリドの演劇に関する研究と考察の二つに重点をおいた。(1)にかんしては、9月、11月のモスクワ出張でのアーカイヴ調査で、この作家の演劇理念が述べられたエッセー「演劇に関する哲学素」の出版されている版に手稿とのずれが存在することを確認、本来のテクストを蒐集した。また、小説『文字殺しクラブ』における演劇・劇場の要素を考察した研究を日本ロシア文学会において発表した。(2)については、同じく9月と11月のモスクワ、ペテルブルグ出張におけるアーカイヴや図書館の調査を経て写真や文献などの資料を収集。これらとともに演劇博物館所蔵の多くの資料を用いてメイエルホリドの演劇活動に関する研究を進め、2010年3月1日より演劇博物館の企画展示「メイエルホリドの演劇と生涯」展を開催、図録を作成した。さらに、本研究で日本におけるメイエルホリドの先行研究を調査し、その遅れを実感したことから、演劇博物館演劇映像連携研究拠点の公募研究「演劇の理論と実践、その現代における応用1ーメイエルホリドの場合」(研究代表者:上田洋子、2009年10月1日より実施)としてメイエルホリド研究会を立ち上げ、4度の研究会、ビオメハニカ・ワークショップ、シンポジウム、劇場模型の再現などのプロジェクトを実施した。
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Research Products
(3 results)