2009 Fiscal Year Annual Research Report
博文館長篇講談の研究―芥川龍之介を中心とする大正期文学の材源として―
Project/Area Number |
21720083
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
奥野 久美子 Kyoto University of Education, 教育学部, 准教授 (50378494)
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Keywords | 博文館長篇講談 / 芥川龍之介 / 講談本 / 大正期 |
Research Abstract |
21年度は、育児休業中であったため10月半ばからの研究開始となり、予定していた内容を全てこなすことはできなかったが、半年間で、研究のスタートと位置づける文献調査にとりかかることができた。初年度であるため、研究に必要な基礎的文献やツールの収集を行なった。特に、研究の中心となる博文館長篇講談については、これまでに(本研究採択前に収集していたものも含めて)全巻の約20%にあたる24冊を収集することができた。本研究の最終目標は博文館長篇講談叢書の全巻調査であり、従来の研究では全巻を揃えての調査研究はなされていない。そのため、まずは同叢書の地道な収集と現物確認が必要であり、今年度は第一歩を踏み出せたと考えている。収集した24冊のうち、「石川五右衛門・自来也」に関しては、上司小剣の歴史小説(社会講談という位置づけも)である、「石川五右衛門」(「改造」大九年七月~一○月連載)の典拠となっているのではと考えて調査をしたが、典拠と言えるだけの証拠は発見できなかったため、他の講談本にも手を広げて調査中である。21年度はその他に、博文館長篇講談のうち「由井正雪」「紀伊国屋文左衛門・銭屋五兵衛」「柳川庄八」「河内山宗俊」の4冊を調査した。近代文学作品への明らかな影響関係を指摘できるほどの成果は得られなかったが、博文館長篇講談の基礎調査として今後もデータを積み重ねてゆきたいまた21年度は、本研究に関係する博文館長篇講談についての論考を含む、既発表の拙論を加筆修正して著書にまとめ、『芥川作品の方法-紫檀の机から-』と題して和泉書院より刊行した。
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Research Products
(1 results)