2011 Fiscal Year Annual Research Report
博文館長篇講談の研究-芥川龍之介を中心とする大正期文学の材源として-
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21720083
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
奥野 久美子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (50378494)
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Keywords | 博文館長篇講談 / 芥川龍之介 / 講談本 / 大正期 / 菊地寛 |
Research Abstract |
23年度は22年度に引き続き、博文館長篇講談の網羅的調査という研究形式から方針を変更し、講談種と思われる大正期の文学作品を選び、その作品と博文館長篇講談その他講談本との関わりを調査研究した。この形式が大正期文壇と博文館長篇講談との関わりを考察する上で効率的であると考えた。23年度は具体的には、菊池寛の戯曲「岩見重太郎」についての研究(22年度に学会で口頭発表したもの)をまとめ、口頭発表に加筆して論文とし、「京都教育大学国文学会誌」37号(23年6月発行)に発表した。菊池寛と講談本(博文館長篇講談)との関わりを明らかにした初めての研究として、意義を持つものと考えている。 また、22年庶から継続して調査している菊池寛の作品「入れ札」に関連して、23年度も国定忠次関連の講談本、実録の類を網羅的に収集、調査した。「入れ札」との関わりは特定できていないが、国定忠次もの講談についての分類、まとめができるだけの資料分析は進んでいるので、この作品に関する研究は24年度も継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった、博文館長篇講談の悉皆調査という方向からは転換したので、当初の計画どおりには進んでいない。しかし、文学作品を中心とし、それに関連する講談本の研究という方針に転換したことにより、大正期の文学作品と講談本とのかかわりを明らかにするという本来の研究目的は、より進めやすくなり、研究成果の発表も行うことができているため、おおむね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
11で示したように、22年度から、当初の研究計画をやや変更したが、研究目的は変わっていない。今後も大正期の文学作品を中心としてそれに関連する講談本を調査研究して両者のかかわりを考察するという方向で、文学と講談本とのかかわりを明らかにする研究を行いたい。23年度から継続して取り組んでいる課題のほかに、今後は武将もので一~二件の研究を加えたい。
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Research Products
(1 results)