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2010 Fiscal Year Annual Research Report

ヘミングウェイの遺作:オリジナル原稿の編纂方法とその問題点に関する総合的研究

Research Project

Project/Area Number 21720105
Research InstitutionBunkyo Gakuin College

Principal Investigator

フェアバンクス 香織 (杉本 香織)  文京学院短期大学, 英語科, 助教 (70409613)

Keywordsアメリカ文学 / アーネスト・ヘミングウェイ / 死後出版作品 / マニュスクリプト研究 / 『移動祝祭日』 / 『移動祝祭日--復刻版』
Research Abstract

本研究は、ヘミングウェイの死後出版作品のオリジナル原稿を、遺族や出版社によって編纂・出版されたテキストと比較することにより、彼らの編纂方法とその問題点を明らかにすることに主眼を置いている。平成22年度は、ヘミングウェイの孫ショーンによって再編纂された『移動祝祭日-復刻版』(2009)を取り上げ、この再編纂本がもつ意義と問題点を、オリジナル原稿および妻メアリーによって編纂された『移動祝祭日』(1964)との比較を交えて考察した。
ショーンは、メアリー編纂の主な問題点として、(1)ヘミングウェイ自身を指す人称(Iとyou)をIに統一したこと、(2)第17章のエピグラフを書き換えたこと、(3)複数の原稿を組み合わせて最終章を構成したことの三つを挙げた。そして彼は、これらの箇所を、ヘミングウェイが遺したオリジナル原稿に戻すことによって解決しようとした。
ショーン編纂の目的の一つが「ポーリーンの復権」であったことは、容易に推測できる。ヘミングウェイと最初の妻ハドリーの離別に際して祖母ポーリーンが加害者として関与していたという、メアリー版『移動祝祭日』における彼女の負のイメージを緩和したかったのだ。ところが、ショーンが特に変更を加えた人称や最終章から浮かび上がるのは、ヘミングウェイのポーリーンに対する想いというよりも、むしろハドリーに向けて巧妙に織り込んでいた愛のメッセージである。
また、ショーンもメアリーと同じ過ちを犯している。例えば、ヘミングウェイがポーリーンと"the unbelievable happiness"な時を過ごしたという表現を、ショーン自身が語句を継ぎ接ぎして作りだした点。そしてもう一つは、ガートルード・スタインの章で、彼女がより肯定的に捉えられるようオリジナル原稿にはない文を加筆している点等である。ショーン版の刊行によりヘミングウェイの温情な一面がクローズアップされているが、ショーンの行為がオリジナル原稿のauthenticityを損なうものであることは間違いない。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011 2010

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ヘミングウェイ作品におけるマニュスクリプト研究(1)-創成期から1980年代中盤まで2011

    • Author(s)
      フェアバンクス(杉本)香織
    • Journal Title

      文京学院大学外国語学部文京学院短期大学紀要

      Volume: 第10号 Pages: 49-64

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 晩年の「ニック」-『エデンの園』と「最後の良き故郷」をつなぐmiscegenationalな憧憬2010

    • Author(s)
      フェアバンクス香織
    • Organizer
      日本ヘミングウェイ協会全国大会
    • Place of Presentation
      関東学院大学
    • Year and Date
      2010-12-11

URL: 

Published: 2012-07-19  

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