2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720116
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
郷原 佳以 関東学院大学, 文学部, 准教授 (90529687)
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Keywords | モーリス・ブランショ / フロイト / レトリック / カイヨウ / ミシェル・ドゥギー / アポリネール / 擬態 / 「知られざる傑作」 |
Research Abstract |
モーリス・ブランショの文学論・イメージ論から出発して文学言語とイメージの現代的な関係性を究明するという本研究の目的に沿い、本年度は主として以下の研究を行った。 『文学のミニマル・イメージ』で示したように、ブランショにおいて「イメージ」は「終わりなき対話」の只中から現れるもめである。このような「対話」と精神分析的な対話はどのような関係にあるのか。この問いをめぐって実証的な研究を行い、ブランショがジャック・ラカンに依拠しつつ精神分析的対話の可能性を認めていることを検証した。研究成果はシンポジウム「フロイトの時代」で発表した。 (2)古代ギリシア以来のレトリックの盛衰および1960-70年代のレトリック復興と隠喩論争を整理し、ミシェル・ドゥギーの隠喩論を歴史的に位置づけ、その意義と特異性を析出した。研究成果は「ミシェル・ドゥギーの「commeの詩学」--60-70年代隠喩論争」として人又社会科学系若手セミナーにおいて発表した。 (3)19世紀以降の小説には、同時代の芸術における諸問題を踏まえたうえで「芸術作品の起源」について独目の問題提起を行う作品が存在する。この問いに関するブランショの議論を踏まえたうえで、二つの小説の分析を行った。 1.アポリネールの短篇「オノレ・シュブラックの失踪」を、ロジェ・カイヨワやラカンの「擬態」論や、美術批評における「不定形」論を参照しながら、「絵画の起源」神話として読解した。研究成果は論文「透明人間の肉体、あるいは、模倣と接触--アポリネールと「絵画の起源」神話」として『ART TRACE PRESS』に発表した。 2.芸術作品とは何かという問いをめぐるバルザックの短篇「知られざる傑作」が後世の芸術家や批評家に及ほした影響を分析した。研究成果は論文「フレンホーフェル効果」として『組立』に発表した。
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Research Products
(6 results)