2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720148
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
長沼 圭一 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (90514646)
|
Keywords | 不定名詞句 / 否定文 / 直接目的補語 / 否定のスコープ / 量 / 外延 / 質 / 内包 |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランス語における不定名詞句に関わる用法のうち、不定冠詞の欠如も含め、とりわけ特殊な用法を研究対象とし、なぜそのような用法が可能であるかについて考察し、その理由を明らかにすることである。 平成22年度は不定名詞句という視点からの考察を発展させ、否定文の直接目的補語の位置に現れる不定冠詞を研究対象とし、拙論(2011):「フランス語における否定文の直接目的補語として現れる不定名詞句UN Nについて」としてまとめた。フランス語の不定冠詞は性と数にしたがってun, une, desといった形で生起するが、否定文の直接目的補語の位置に現れる名詞につく不定冠詞は性・数に関わらず通常全てdeという形で実現される。しかしながら、このような環境においても、un, une, desの形で現れるものが見かけられる。このような例を収集し、否定のスコープという観点から5つのタイプに大別した。その5つとは、否定が数詞に及んでいる場合、否定がどこにも及んでいない場合、否定が付加辞や副詞に及んでいる場合、否定が名詞の「名札」に及んでいる場合、否定が文全体に及んでいる場合である。 とりわけ注目すべきなのは、4つ目の否定が名詞の「名札」に及んでいる場合である。Il n'y a pas de chefのようなdeを用いた通常の否定文においては、名詞が表す対象の存在、すなわち対象の「量」あるいは「外延」が否定されているのに対し、否定が名詞の「名札」に及んでいるIl n'y a pas un chef.のような文は、「有能な人物はいるが、指導者という名にふさわしい人物がいない」という解釈となり、ここでは名詞が表す対象の「質」あるいは「内包」が否定されていると考えられる。このようなことから、不定名詞句UNNと内包とのかかわりが観察される。
|
Research Products
(1 results)