2009 Fiscal Year Annual Research Report
明治前期東京語における口語資料の電子化テキスト整備とその資料性の検証に関する研究
Project/Area Number |
21720159
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡部 嘉幸 Chiba University, 文学部, 准教授 (80292738)
|
Keywords | 明治時代語 / 東京語 / 電子化テキスト / 文法的指標 / 資料性 |
Research Abstract |
明治初期東京語における口語資料として適切と思われるものを、国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」を利用し、その本文を参照しながら選定し、明治期戯作を中心とする以下の10作品の電子テキスト化を行った。 1.東京娘風俗(松村春輔、明治15年)、2.花街膝栗毛(大久保常吉、明治16年)、3.春色花暦(梅亭金鵞、明治16年)、4.書生肝粒誌(菊亭静、明治16年)、5.不二の白雪(素蛾自然、明治16年)、6.明治流行嘘八百(菊亭静、明治16年)、7.滑稽笑談清仏船栗毛(伊東専三ほか、明治17-18年)、8.貞節雪廼梅(鶯亭昌安、明治18年)、9.妹と背かゞみ(春の舎おぼろ(坪内雄蔵)、明治18-19年)、10.返咲園廼花(鶯亭金升、明治19年) さらに、原本を用いて、電子化テキストの校正を行い、電子テキスト本文の信頼性を高めた。 次に、先行研究などを参照して、資料性を検証するための文法的指標として、1.「です」「であります」の使用と使用階層、2.動詞丁寧形の打消しの形、3.打消しの助動詞の過去表現の形、4.可能表現形式を設定した。文法的指標については今後も検討していく予定である。 明治期東京語の代表的資料である『安愚楽鍋』、『西洋道中膝栗毛』および構築した電子化テキストを対象として、文法的指標の2.動詞丁寧形の打消しの形(例えば、「行きませんでした」「行きませなんだ」など)と4.可能表現形式(例えば、「行ける」「行かれる」「行けない」「行かれない」など)を中心に、用例調査を行った。現在、用例の整理と、諸形式の使用率の算出を行っている。
|