2010 Fiscal Year Annual Research Report
語彙情報処理の母語話者-学習者連続性に関する総合的研究
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21720197
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
高島 裕臣 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (60353314)
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Keywords | 英語語彙情報処理 / 語彙判定潜時 / 音読潜時 / 翻訳正答率 / 母語話者-学習者連続性 / 語と文・文章の情報処理連続性 |
Research Abstract |
本研究は、同じ英単語の学習・情報処理難易度が母語話者の場合も日本人学習者の場合も同じかどうかという語彙情報処理の母語話者-学習者連続性の問題に心理言語学的見地から取り組むものである。平成22年度の成果は、5月~9月の期間に333の英単語を用いて語彙判定・音読実験を実施し、その結果をまとめ、10月に外国語教育メディア学会(LET)関西支部2010年度秋季研究大会研究発表にて報告したことである。主要な結果は、(1)語彙判定潜時が音読潜時よりも有意に早いことを確認したこと(母語話者と逆パタン)、(2)母語話者語彙判定潜時と学習者語彙判定潜時,母語話者音読潜時と学習者音読潜時の有意な相関を確認したこと、(3)学習者語彙判定潜時と学習者音読潜時に対する寄与が有意な変数は、母語話者語彙判定潜時・音読潜時と重なりがあることを確認したこと、の3点にまとめられる。これらの結果は予想していたパタンと一致し、語彙情報処理の母語話者-学習者間の連続性と相違についての考察を深めさせてくれる。学術誌投稿に向けてさらに分析を進めている。 また、平成21年度に全国英語教育学会にて行った研究発表をもとにまとめた論文1編が刊行された。これはTOEIC形式リスニング問題を題材に、発話構成語の平均母語話者語彙判定潜時と平均母語話者音読潜時が正答者率と有意な相関を持つことを見出した研究である。これは次の3点を示唆する。(1)母語話者にとっての情報処理難易度を表わす変数が日本人学習者にとっての情報処理難易度と相関を持つ(情報処理の母語話者-学習者連続性)、(2)語の情報処理と文・文章の情報処理とが連続的である、(3)リスニングとリーディングとの間にパラレリズムが見受けられる。この「リスニングとリーディングのパラレリズム」が今後新たな研究課題となりうるかどうかも検討する必要があるだろう。
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Research Products
(2 results)