2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720218
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
豊田 哲也 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (40436506)
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Keywords | 国際法思想史 / 文明間の交流 / 欧州中心主義批判 |
Research Abstract |
初年度に引き続き、第2年度も文献の収集作業を行い、初年度に行えなかったワシントンとロンドンとソウルでの文献収集作業を実施した。フランスでの外交史料の収集については、同国の外務省史料館での複写サービスの効率性が低いこともあり、十分に作業が進められていないが、この点については最終年度の再度の訪問で補う予定である。また、ロシアのウラジオストックにおいて、日露関係史に関するシンポジウムに参加したことで研究の視野の広がるところがあり、最終年度に可能であれば、モスクワでの資料収集も行いたいと考えている。 日本国際経済法学会で行った報告では、現実の制度としての主権国家体制の成立について、その一つのメルクマールを実効的な貿易管理に見いだすならば、近世の早い段階で海禁政策を実効的に実施していた東アジア諸国においてこそ主権国家体制が成立したと見ることも可能であり、17世紀-18世紀のヨーロッパの国際法学者の中には、中国や日本の海禁政策を国際法上の国家の通商管理権の行使の例とみなす者があることを指摘した。同報告の内容は、日本国際経済法学会年報に掲載される予定である。 なお、朱子学の普遍主義的な性格がヨーロッパにおける近代国際法の形成と普及に与えた影響に関する論文が武漢大学の『国際法評論』に掲載された。また、ヴァッテル国際法の普遍主義と明治日本の国際法共同体への参加について論じた論文"L'universalisme vattelien et l'entree du Japon a la communautedu droit international"が論文集Y.Sandoz(ed),Reflections on the Impact,Influence and Continuing Relevance of 《The Law of Nations》 by Emer de Vattel(Bruylant,2010)の59-73頁に掲載されている。
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