2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720232
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
添田 仁 神戸大学, 人文学研究科, 特命講師 (60533586)
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Keywords | 開港場 / 長崎 / 神戸 / 横浜 / 地役人 / 遊女 / エネルギー |
Research Abstract |
近世・近代移行期における<開港場行政>実務担当者の動向平成21年度から引き続いて、長崎・横浜・神戸・大阪の外務課の「官員録」「職員録」から、開港場で勤務した職員の役職と名前をリスト化し、維新期の長崎から各開港場への人員の異動の傾向を分析した。結果、江戸時代には長崎地役人であった人びとが神戸・大阪に派遣されて<開港場行政>の中核として活躍していたこと、一方で、.横浜は独自の展開を遂げていたことがうかがえた。 <開港場行政>における近世的手法・人脈の影響力開港場間でやりとりされた書簡文書を双方向的に分析し、とくに開港場から海外へ流出する日本人の問題を中心に、近世以来、長崎地役人の間で培われた手法や経験が<開港場行政>に与えた影響について分析した。一方、開港場でのエネルギーの確保については、近世以来の金銀山の山師・地主が有した技術・資本が重要な役割を果たしており、実態的には、かかる近世以来の手法やネットワークのなかで<開港場行政>が実現されていたことを明らかにした。 外務省政策の限界と<開港場行政>の独立性各府県外務課の資料の分析から、維新期の外務省は、たとえば「外雇ノ内人」(ラシャメン・仲仕などの肉体労働者)など、新たに発生した国際問題群に対して具体的な対策を打ち出せず、実態的には、各開港場で近世以来の実務担当者と外国人との間に築かれてきた慣習によって形式的に処理されるにすぎなかったことを明らかにした。ただし、このような<開港場行政>が外務省主導による国際関係に取り込まれる契機については、今後の課題である。 以上の成果は、報告書にまとめた。
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Research Products
(4 results)