2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21720242
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 節 Kanazawa Institute of Technology, 基礎教育部, 講師 (30410294)
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Keywords | 日本史 / 占領期 / GHQ / SCAP / 宗教 / ウッダード |
Research Abstract |
本研究の目的は「ウッダード・コレクション」の史料を調査し、従来、GHQの宗教政策史に関する研究で基礎的文献とされてきた、故ウィリアム・P・ウッダードの著書内容を再検証することを通じて、占領軍の宗教政策史の解明に取り組むことである。一年目である本年度は、国立国会図書館憲政資料室が所蔵している同コレクションの一部を中心に調査を実施した。また、同史料を読み解く上で必要なGHQ/SCAP文書、占領期の宗教界に関する資料、論文を収集した。この過程で得た史料は、整理した上で解読・分析を進めた。特に、同コレクションに含まれていた、岸本英夫の昭和二十年の日記について研究を行った。岸本英夫は、占領期に民間情報教育局宗教課のアドバイザーを努めた人物である。占領軍の政策担当者に日本の宗教界に関する情報や助言を与えると同時に、占領政策の対応や準備に迫られた文部省宗務課や宗教界関係者への助言や調整を行うなど、重要な役割を果たした。その記録が同日記には残されており、GHQの宗教政策史を解明する上で貴重な史料である。また、その記述内容のみならず、今まで存在が不明であった岸本日記が、何故ウッダードの手元に存在したのか、そしてウッダードは岸本日記のどの記述に注目していたのかという点も着目に価する。岸本日記に関する周辺史料として、ウッダード自筆による日記の英訳文や、知人の日本人が作成したと思われる関系書類があり、これらを分析することを通じて、日記の史料的意義について考察した。その成果は、平成22年度中に論文化する予定である。
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