2010 Fiscal Year Annual Research Report
近世イタリア諸都市におけるキリスト教徒とユダヤ人の関係性
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21720272
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤内 哲也 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (60363602)
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Keywords | ユダヤ人 / ゲットー / イタリア / ヴェネツィア / アシュケナジム / セファルディム / レオン・モデナ / 近世 |
Research Abstract |
本年度は、まず課題(1)「イタリア諸都市におけるゲットーの成立と展開」に関して、16世紀初頭に成立したヴェネツィアのゲットーの成立過程についてまとめたうえで、ゲットーがユダヤ人を都市に定着させて、その経済力を利用したい都市当局と、聖職者や都市住民の反ユダヤ感情との妥協の産物であったことなどを指摘した論文「16世紀ヴェネツィアにおけるゲットーの創設」を発表した。また、ヴェネツィアの旧ゲットー地区およびゲットー博物館、シナゴーグなどを訪れ、調査と資料収集を行った。 次に、課題(2)「キリスト教徒とユダヤ人の関係性」について、前年度に引き続き、17世紀初頭にヴェネツィアのゲットーで活躍したユダヤ知識人レオン・モデナの『自伝』を史料として、そこに現れてくるユダヤ人の人間関係、とりわけキリスト教徒との関係について検討し、その成果の一部を論文「近世ヴェネツィアのユダヤ知識人とキリスト教徒」として発表した。さらに、ユダヤ人や黒人奴隷をはじめとする多様な外来者や社会的、宗教的マイノリティが多く定着していることが、国際商業都市ヴェネツィアの顕著な特徴となっている一方、それらの社会集団間の受容や都市当局による統制のあり方には差異がみられ、都市社会の内部には政治的、社会的、文化的な境界線が引かれていたことについて、これまでの研究成果をまとめ、他の時代や地域との学際的な比較を試みた共編著『クロスボーダーの地域学』を刊行した。
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Research Products
(3 results)