2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21720279
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 美穂 大分工業高等専門学校, 一般科文系, 准教授 (40435491)
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Keywords | 中世史 / 西洋史 / アイルランド史 / ブリテン諸島史 |
Research Abstract |
平成23年度は、前半はおもに国内外での研究発表の準備に、後半は昨年度から継続中の翻訳書の準備に従事することになった。 まず、12世紀後半のアイルランドの政治史をあつかった英語論文"Ruaidri Ua Conchobair:the last high king of Ireland"を昨年度に投稿したが、夏に刊行された学術誌に掲載されることになり、校正などの作業をおこなった。 8月にアイルランドで開催された国際学会(XIV International Congress of Celtic Studies)では、「アイルランドと日本の中世史比較」をテーマに発表した。同じ島国の日本とアイルランド、それぞれのユーラシア大陸との歴史的関わりを、とくに12世紀後半のアイルランドへのイングランド人の侵入と、13世紀後半の蒙古襲来を比較しつつ論じた。国際学会では、主としてアイルランド中世史に関する他研究者の発表を聴き、多様な国の研究者たちとの交流も深めた。また、アイルランド滞在中に、ロマネスク建築として名高いクロンファート修道院や中世の遺跡が多数残る南部の港町ウォーターフォードを訪問した。 10月に中央大学で開催された学会では、フォーラム・オン(=シンポジウム)「聖人伝研究の現在」で報告者の一人として「アイルランドの聖人伝研究:コギトスス『聖ブリジット伝』を中心に」と題する報告をおこなった。報告を依頼されたので、シンポジウムのテーマ(中世アイルランドの女性聖人)にそって内容を考えた。 10月下旬以降は、翻訳書『オックスフォードブリテン諸島の歴史』第4巻の訳注と索引の作成に従事した。12、13世紀のアイルランドに関する訳注と用語解説の執筆を諸文献などで調査しつつおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した国際学会での報告のみならず、10月には国内の学会での報告も実施できたので、当初の計画以上に研究活動が進展していると考える。また、投稿した英語論文"Ruaidri Ua Conchobair:the last high king of Ireland"も今年度に発表することができたので、本研究課題のテーマと一致する業績を挙げることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年となるので、できるだけ本研究課題にそった研究活動を実施したいと考えている。しかし、諸学会から研究発表を依頼されることがあり、その際には、たとえばシンポジウムの企画に合う内容の研究をまとめる必要が生じる。本研究課題といくぶん異なるテーマの研究をすることもあるが、アイルランド中世史が対象であることに変わりはなく、その分、視野も広がり、研究業績を蓄積することもできるので、可能な限り応えていきたいと考える。また研究したことをなるべく本研究課題に還元できるようにしたいとも考える。 最終年度に計画している学会発表では、本研究課題にそったテーマ設定を予定している。一つは「アイルランドと教会」がテーマとして設定されているので、教会の比重がいくぶん大きくなる見込みである。
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