2010 Fiscal Year Annual Research Report
吉備地域における群小墳の展開過程からみた古墳時代社会構造の研究
Project/Area Number |
21720286
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野崎 貴博 岡山大学, 埋蔵文化財調査研究センター, 助教 (40284054)
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Keywords | 群小墳 / 吉備地域 / GIS |
Research Abstract |
岡山県における群小墳の研究は2000年代以降、停滞状況にあるといっても過言ではない。その一方で、開発にともなう発掘調査は確実に進行し、多くの群小墳の調査が実施されてきた。また、全県的な分布調査が実施され、群小墳の分布や概要を全県的に知ることができるようになるなど、良好な調査資料は着実に積みあげられてきており、研究を推進させるための基盤は整備されてきた。 しかし、これらの資料は多量で分散的であるため、岡山県において、この分野での研究は、群小墳ごとの個別の研究、小地域での研究にとどまっている。そのため、岡山県における群小墳の研究を進めるには、まずこれらの成果を収集・総合化することが必要と考えたのである。そこで、2009年度は備中南部地域を対象として対象地域内に位置する群小墳の地名表作成、発掘された群小墳のデータ収集、分布図の作成を行なっているが、2010年度は、引き続き備中南部地域のデータ整備をおこない、それに加えて備前南部地域の地名表作成と分布図作成を行なっている。分布図については、GPSによる位置情報の取得と、その後のGISソフトを用いた分析に備えてデジタルデータでの作成を試みている。GISソフトを用いた分析は2010年度から着手したため、試行段階の域を出ない。 その他、近畿地方に所在する群小墳の踏査および出土遺物の観察を行い、本研究の主たる対象地域とした吉備地域の様相との比較作業を進めた。 上記作業の結果、岡山県域において、古墳の分布密度が高い岡山平野および総社平野周辺については、全体数およびこれらの古墳の墳形や埋葬施設の内容などの把握が進んだ。今後、周辺域のデータ整備を進める必要がある。
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