2011 Fiscal Year Annual Research Report
吉備地域における群小墳の展開過程からみた古墳時代社会構造の研究
Project/Area Number |
21720286
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野崎 貴博 岡山大学, 埋蔵文化財調査研究センター, 助教 (40284054)
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Keywords | 群小墳 / 吉備地域 / GIS / GPS |
Research Abstract |
岡山県における近年の群小墳の研究は停滞状況にある。岡山県では群小墳の調査に関しては、2000年以降、開発にともなう発掘調査による成果が確実に蓄積され、また、全県的な分布調査が実施されたことにより、その内容と全県的な分布を知ることができるようになった。一方、研究面では、これらの調査によって蓄積された膨大で分散的な情報量に対応しきれていない側面もあるとみられ、このことも群小墳研究の停滞の一因となっていると考えられる。 本研究はこうした状況を改善するため、これらの調査成果を収集し、総合化をはかることを主たる目的とした。また、今後広く導入が予測されるGPSを用いた位置情報の取得と地理情報システムによる解析の実践のため、簡易的な機器を用いた手法の開拓を目指した。 本研究期間では、吉備地域における古墳の過半が集中する岡山県南部地域の岡山市・総社市・倉敷市・赤磐市、岡山県北部の津山市を優先して地名表作成の作業を行い、古墳時代を通じて約5000基の地名表の作成を完了した。今後、周辺地域のものについても補足し、県内全域の地名表完成を目指す。簡易GPSを用いた位置情報取得のための実践的な試みについては、小規模な古墳が密集する場合でも相対的な位置関係の把握が可能なこと、取得したデータの補正を行うことできわめて正確な位置情報が取得できることを確認でき、効率的な分布調査手法としての見通しが得られた。
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