2009 Fiscal Year Annual Research Report
南インドにおける神霊祭祀と憑依儀礼に関する人類学的研究
Project/Area Number |
21720321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
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Keywords | 南インド / カルナータカ州 / マンガロール / ブータ祭祀 / 土地利用 / 植民地支配 |
Research Abstract |
1)平成21年度実施分:平成21年8月から9月にかけて南インド・カルナータカ州マンガロール市近郊の農村でフィールドワークを行った。この調査と帰国後の研究実績は以下のとおりである。(1)MP村を中心に各世帯への戸別調査を実施し、人口・カースト・ジェンダー・年齢・職業構成をはじめとする基本的データの収集と分析を行なった。また、1974年の土地改革法施行以前と以後における各世帯の生業および土地保有状況の変化についての調査と分析を行った。(2)ブータ祭祀の中心的な担い手である宗教的職能者らへのインタビューを行った。具体的には、ブータ祭祀を組織している複数の領主、霊媒司祭であるムッカルディとパトリ、憑坐となるパンバダやナリケ、祭祀の一部を担うブラーマン司祭、祭具を取り扱うマディワラらへのインタビューを実施し、トゥル語から英語への翻訳および、インタビュー内容の分析を実施した。ブータ祭祀にかかわる職能者に対する現地語での詳細なインタビューは稀少であり、マンガロール大学の民俗学者との協力作業の下で編纂を進め、英語での出版を予定している。 2)平成22年度(繰越分)実施分:平成22年12月19日から平成23年1月2日まで、南インド・カルナータカ州マンガロール市近郊の村落部にて、19世紀における土地利用および税制と母系制、ならびにブータ祭祀の関係についてフィールドワークを行った。この調査において、マンガロール市のDeputy Commissioner's Officeに保管されていた植民地期の貴重な公文書を収集し、当時の税制と土地利用、地券所有者の選定についての詳細な分析を実施した。この資料の分析から、植民地期以降の母系制社会における女性の「地主化」という現象を示す結果が得られた。今後、この研究成果を論文にまとめ、学術誌に発表する予定である。
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