2009 Fiscal Year Annual Research Report
「憲法判断」とは何か―市民感覚を反映する憲法訴訟論へ
Project/Area Number |
21730025
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
青井 未帆 Seijo University, 法学部, 准教授 (80362094)
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Keywords | 憲法訴訟 / 憲法上の権利 / 憲法判断の方法適用違憲 / 法令違憲 |
Research Abstract |
本年度においては「憲法判断の客観的性質」と「具体的事件からの独立性」の論証という、本研究の掲げた目的達成のために、研究実施計画に沿って次のような研究活動を行った。(1)問題意識を共有する若手研究者と5月に「アメリカ憲法理論研究会」という研究会を立ち上げ、以来、文献講読と討論を中心に、2カ月に1回のペースで議論を深めてきている。(2)これまでに仮説として立ててあった理論の一部を、複数の論文の形にまとめた。(3)残されている理論的な問題に取り組むために、幅広く文献を収集し、検討を行った。(4)研究会や勉強会で報告の機会をいただき、メンバーの先生方からご指導をたまわった。 上記(2)で記した論文のうち、図書に収録されたものの1つについては、土井真一京都大学教授の論文において「・・・近時のアメリカ憲法学の動向を踏まえて、重要な問題提起を行う興味深い論考」と引用していただいている(土井「憲法判断の在り方-違憲審査の範囲及び違憲判断の方法を中心に」ジュリスト1400号〔2010年〕51頁以下、55頁脚注30)。また、成城大学の紀要に投稿した論文については、奥平康弘東京大学名誉教授により、「合衆国憲法審査が適用違憲と法令違憲とに分岐されている意味を積極的に分析するとともに、近時『適用違憲』を選択する判決例が増大しつつあることの意味を探究していて、われわれに有益である」とご紹介賜り(奥平「『堀越事件』東京高裁無罪判決の意味」世界2010年6月号48頁以下、50頁、さらに宍戸常寿東京大学准教授の論考で、適用違憲に関する参考文献として、本領域における第一人者である市川正人教授の論文と並べて「より深く問題の所在を考えたい方には、日米の学説を精密に検討した」ものとして拙稿を紹介いただいた(宍戸「憲法判断の方法」法学セミナー2010年6月号66頁以下、70頁)。したがって意義や重要性にっき一定の評価を得られるものを、成果としてあげられたのではないかと自負している。
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Research Products
(2 results)