2011 Fiscal Year Annual Research Report
「憲法判断」とは何か―市民感覚を反映する憲法訴訟論へ
Project/Area Number |
21730025
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
青井 未帆 学習院大学, 法務研究科, 教授 (80362094)
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Keywords | 憲法訴訟 / 憲法上の権利の救済 / 憲法判断の方法 / 適用違憲 / 法令違憲 / 立法不作為違憲国賠 / 憲法訴訟と刑事制裁 |
Research Abstract |
1研究の目的と実施計画に照らした進捗 本研究では、具体的に(1)憲法判断の客観的性質の主張・論証、(2)具体的な事件からの独立性の主張・論証を、目的として掲げている。本年度では、昨年度・一昨年度での研究の蓄積を踏まえ、研究実施計画の通りに、進めることができた。 すなわち、刑事訴訟と民事訴訟のなかでも国家賠償請求訴訟といった訴訟形式を取り上げ、(1)理論研究として憲法上の権利の性質についての検討と(2)現実の訴訟に即した憲法上の権利の働きの検討を、研究実施計画に沿って、それぞれ行い、後述のとおり公刊された研究結果として、また脱稿後、公刊を待つ研究結果として、著することができた。 2研究成果の具体的内容、意義、重要性 上述1(1)の理論研究として、本報告書後掲13に掲げた公刊済み論文の他にも、「最高法規性」、「私人間効力」をめぐる論文がある(脱稿済であり、後者については、校正済みでもある)。上述1(2)の研究としては、公刊済み論文のうちでは、「空襲被災者の救済と立法不作為の違憲-国家賠償責任について」が該当する。これは、いわゆる東京大空襲訴訟において、東京高等裁判所に提出した意見書を踏まえたものである。また、国家公務員法違反事件(いわゆる堀越事件・世田谷事件)をめぐり、近々最高裁判所に提出予定の意見書(脱稿済み)も、本研究の成果の一つであり、公刊を予定している。 いずれも、本研究が目的として掲げている上述(1)(2)につき、これまで理論的検討の層の薄かった領域について、新たな角度から理論的に整序し、また具体的な訴訟案件に即した検討をなすものであり、一定の重要性を持つものと自負している。
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Research Products
(2 results)