2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730041
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和仁 健太郎 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (40451851)
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Keywords | 内戦 / 非国際的武力紛争 / 国際人道法 / 戦争法 / 武力紛争法 / 中立 / 承認 / スペイン内戦 |
Research Abstract |
本研究の目的は、伝統的国際法における交戦団体承認制度の法的性格を明らかにすることである。交付申請書に記載した研究実施計画の通り、平成23年度は、20世紀前半の時期について研究を行った。特に、この問題に関する重要な先例の1つであるスペイン内戦については、英国国立公文書館(TheNationalArchives)において未公刊外交文書の調査も行った。研究の結果明らかになったことを簡単にまとめれば、次の通りである。すなわち、交戦団体承認については、.基本的な考え方として、(1)政府の内乱鎮圧権を前提とする考え方と、(2)国民の反乱権(rightofrebenion)を前提とする考え方が対立していた。(1)の考え方によれば、交戦団体承認は、政府または第三国が反乱者に対し恩恵的に行う行為であることになる一方、(2)の考え方によれば、政府または第三国の行う交戦団体承認は宣言的効果しか有しないことになる。スペイン内戦における諸国の実行は明らかに(1)の考え方を前提とするものであったが、それより前の国家実行には(2)の考え方を前提としていたと考えられるものもあり、この点をどのように整理すべきか、今後検討が必要である。平成23年度に行った研究の結果得られた知見としてもう1つ重要なことは、反乱者が行使する交戦権(belligerent rights)と政府権能(governmental authority)の区別という観点である。つまり、反乱者が実効的に支配する地域において行使する政府権能(立法・裁判等)の効力を承認する一方、反乱者の交戦権は否認する実行が存在する。このことは、国家以外の団体が交戦権を取得する場合の根拠と政府権能を取得する場合の根拠が異なることを意味する。両者の関係をどう考えればよいか、今後検討が必要である。この問題を明らかにする手がかりの1つは、占領法規であり(領域主権を有しない地域において政府権能を行使する点で共通する)、平成23年度は占領法規に関する若干の検討も行った(その結果を「13.研究発表」欄に記載の通り発表した)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、平成22年10月に現在の所属研究機関に准教授として着任し、その後しばらくの間は授業準備等のために本研究課題の実施に十分時間をとれない状況が続いたが、平成23年の後半頃からそうした状況は改善され、研究の遅れを取り戻すことができた。現段階ではおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画通りに研究を遂行する予定である。資料の収集・整理や論文の体裁を整える作業などについては、謝金を支払って大学院生に協力してもらい、より一層効率的に研究を遂行するつもりである。
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Research Products
(2 results)