2009 Fiscal Year Annual Research Report
契約不履行と「救済」決定プロセスの研究―契約法の「現代化」を受けて
Project/Area Number |
21730078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉政 知広 Nagoya University, 大学院・法学研究科, 准教授 (70378511)
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Keywords | 民法 |
Research Abstract |
近年、世界各国において、契約法の「現代化」が進められている。日本においても、民法(債権法)の全面改正へ向けた検討が、法制審議会民法(債権関係)部会において開始されている。そこでは、世界的な動向を視野に入れた検討が行なわれているところである。 本研究は、近時のこのような動向を踏まえて、契約違反に直面した当事者に与えられる「救済」を決定するプロセスの解明を目指すものである。 このような目的を達するために、本年度(平成21年度)は、主として2つの作業を行なった。 第1の作業は、大陸法圏と英米法圏の契約法の調和へ向けた、最も重要な成果として位置づけられるウィーン売買条約(CISG)の検討である。本年度は、両法体系の「救済」法の相違が最も顕著に表れる履行強制の問題を中心に検討を行なった。その成果の一部は、CISGの概説吾(分担執筆)として、近日中、公刊される予定である。 第2の作業は、日本の契約法の現況を、本研究の問題意識に照らして、「救済」法という視角から再検討することである。本年度は、契約責任と不法行為責任が交錯する問題領域である、安全配慮義務をめぐる議論を検討したほか、伝統的な事情変更法理に対する批判的な検討を行なった。安全配慮義務に関する検討の成果の一部は、下記の研究業績として公表されている。事情変更法理に関する検討はほぼ完了しており、その成果を引き続き公表する予定である。さらに、「救済」法の全体像を明らかにするために、解除制度と損害賠償制度の相互関係に関する検討も開始している。
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Research Products
(2 results)