2010 Fiscal Year Annual Research Report
共同訴訟の成立要件と審判規律の関連性をめぐる歴史的・比較法的研究
Project/Area Number |
21730084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鶴田 滋 九州大学, 法学研究院, 准教授 (90412569)
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Keywords | 共同訴訟 / 通常共同訴訟人独立の原則 / 固有必要的共同訴訟 / 合一確定の必要性 / 不利益変更禁止の原則 |
Research Abstract |
平成22年度においては、主に次の研究を行った。 第一に、いわゆる当然の補助参加関係の理論を否定した最高裁判例(最判昭和43年9月12日民集22巻9号1896頁)を手がかりに、通常共同訴訟人独立の原則の趣旨について検討を行った。共同訴訟制度は、通常は訴訟経済のためにあることから、証拠共通の原則は、訴訟経済という共同訴訟制度の趣旨に反しないためにその限りで認められ、主張共通の原則は、通常共同訴訟の趣旨に反するため、これを通常共同訴訟全般に承認することはできないことを明らかにした。 第二に、「共有者の共同訴訟の必要性と共有者の訴権の保障」と題する研究について、第80回日本民事訴訟法学会において報告を行った。ここで、筆者は、第三者に対する共有権に基づく訴えと、提訴拒絶者に対する、共有権に関する訴えについての訴訟追行の授権を求める訴えを併合して提起することができるとの解釈論を提示した。この訴訟の併合形態は通常共同訴訟であるが、両請求について密接な関連性があるので、両者の弁論分離を手続裁量権の濫用であるとして禁止するという解釈論を提示した。 第三に、原告甲の被告乙および丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず、甲の乙に対する請求を認容し、甲の丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には、上訴審は、甲が上訴または附帯上訴をしていないときであっても、合一確定に必要な限度で、上記判決のうち丙に関する部分を、丙に不利益に変更することができるとする最高裁判例(最判平成22年3月16日民集64巻2号498頁)を検討した。その際、合一確定の必要性は、共同訴訟の必要性と同様に、公益のためにも存在するため、職権調査事項であるとされ、その結果、合一確定の必要性に違反する裁判を上訴審が変更する場合には、不利益変更禁止の原則は適用されないことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)