2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730115
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福島 都茂子 京都大学, 法学研究科, 研究員 (00511982)
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Keywords | 政治学 / 政治史 / フランス / 家族政策 / 出産奨励政策 / 人口問題 / 第三共和制 / ヴィシー政府 |
Research Abstract |
本研究の目的は、現在「少子化対策の先進国」と呼ばれるフランスの家族政策の起源と発展の経緯を、政治史の観点から詳細に分析することである。フランスの家族政策の起源は、出生率低下による人口減退問題に悩んでいた19世紀末頃であり、その後1930年代後半から大きく発展した。特に1938年から58年までは、家族政策の「黄金時代」と呼ばれることもあるが、間に第二次世界大戦中ドイツ軍占領下で誕生したヴィシー政府の時代を含むためか、この時期を通して扱った研究は、国内はもちろんフランスを含む欧米諸国でも少ない。本研究は、この空隙を埋める目的ももっている。平成22年度は、昨年度に引き続き現地フランスに行く予定で旅費を計上していたが、研究者の諸事情により渡仏はかなわず、日本で手に入る史料(訪問する予定であったフランス国立図書館は近年インターネットで一部史料のコピーが取り寄せ可能になった)と、昨年度に収集してきた史料を元に、主に1930年代後半の家族政策についての研究を進めた。特に1938年と39年は家族政策が積極的に採用される契機となった年であるが、38年については政治学的観点からの詳細な先行研究が少ないため、特にこの時期についての史料を詳細に調べ、30年代後半から急激に家族政策が発展した経緯について一論文にまとめた。その成果は、平成23年6月の比較政治学会で報告予定であり、同学会の学会誌に投稿予定である。昨年度およびそれ以前にすすめた研究と合わせると、1900年から1947年までの時期のフランスの家族政策に関する研究は進んだ。予定していた1948年から58年までについては今後の課題としたい。
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