2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカの南ベトナムへの介入と南ベトナム解放民族戦線の対応
Project/Area Number |
21730150
|
Research Institution | Kagoshima Prefectural College |
Principal Investigator |
福田 忠弘 鹿児島県立短期大学, 商経学科, 准教授 (50386562)
|
Keywords | 国際政治史 / ベトナム戦争 |
Research Abstract |
ベトナム戦争の行方に大きな影響を与えたテト攻勢は,1968年1月に行われた攻撃のみを指すのではない。同年5月に第二波が,同年8月に第三波の攻撃が行われ,解放勢力側は大きな被害を被った。テト攻勢が「政治的に成功したが,軍事的に失敗した」と評価される所以である。これまでテト攻勢第二波,第三波がどのような目的で行われたものだったかについて焦点を当てた先行研究はそれほど多くはない。 「平成21年度科学研究費補助金実績報告書」で,1968年3月10日付けで中国で静養していた最高指導者ホー・チ・ミンから労働党第一書記に出された手紙を発見したことに言及した。今年度は,このホー・チ・ミンの手紙の内容分析を行うと共に,テト攻勢第二波がどのような目的をもって行われたのかについて仮説を提示して検討した。ホー・チ・ミンの手紙の中には,大約「第三幕が開くちょうど良い時期に南ベトナムを実際に訪問して南ベトナムで活動する同志達を鼓舞したい」という願いが述べられている。この「第三幕」が何を指すのか,「ちょうど良い時期」とは何にとって良い時期なのかを解明することによって,テト攻勢第二波がどのような目的を持って行われたのかということが明らかになる。この点について5つの仮説を提示して,ベトナム共産党の党文献や先行研究などの周辺の資料を用いて比較分析を行った。その結果,テト攻勢第二波,第三波は,パリで始まっていた外交交渉を有利に進めることを目的に発動された,と評価するのが妥当ではないかという結論を導き出した。
|
Research Products
(1 results)