2009 Fiscal Year Annual Research Report
条件付き複合ポアソン分布族による個票開示リスク評価
Project/Area Number |
21730173
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
星野 伸明 Kanazawa University, 経済学経営学系, 准教授 (00313627)
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Keywords | プライバシー / 個票開示リスク / 母集団一意 / 寸法指標 |
Research Abstract |
本年度は実証研究用データセットを、予定より早く作成する事が出来た。その後は計画通り個票開示リスクをピットマンモデルで評価し、母数の最尤推定量の経験分布を得た。そして貴重な6年にわたる月次データならではの問題設定を考え、個票開示リスクの時間安定性に着目した。日本の個票公開制度は運用を開始したばかりだが、データの年次が所与で、個票公開の是非が審査された。つまり今後は、より新しい年次のデータを公開する場合、同調査でも再審査の必要性が問題となる。中でも検討すべき点は、同程度の匿名化処理で良いか否かであり、その問題の中核はリスクの時間安定/変動性である。要するにリスクが安定的ならば、審査は軽くて良い事になる。従ってリスクの安定/変動を実証的に示す事は、重要である。しかしリスクの異時点間比較は、方法論が確立していない。例えば標本数に依存するリスク測度は自然だが、標本数は異時点間で異なるのが普通である。リスク測度を統一しないと意味有る比較にならないのは当然だが、どのように考えたら良いか。この問題については、モデルの母数をリスク測度と見る事にした。そしてリスクの安定性を、母数が(観測されたデータ変動の中心で)一定という帰無仮説として定式化した。最尤推定は母数の変換について不変である。故に最尤推定量の有意な差は、母数の関数となる任意のリスク測度についても有意な差となる。このようにして、リスク測度選択の恣意性をある程度回避出来る。結果としてリスクは中心がら外れているとは言えなかったが、最大リスク点と最小リスク点は構造が違うかもしれない事が分かった。国際統計協会の大会に予定通り参加し、このような内容を発表した。
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