2010 Fiscal Year Annual Research Report
国策会社の比較経営史的研究―台湾拓殖と南洋拓殖、1936?1945年―
Project/Area Number |
21730280
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
齊藤 直 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 准教授 (90350412)
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Keywords | 国策会社 / 経営史 / 経済史 / 企業金融 / 資本市場 / 戦時経済 |
Research Abstract |
本研究は、戦前日本において政策を体現する主体として設立された国策会社について、経営史分析の手法を用いて比較検討を行うことを課題とする。具体的には、将来的国策会社全体の比較分析を行うことを念頭に置いたうえで、そのためのパイロット・スタディとして、台湾柘殖株式会社(以下、台湾柘殖)と南洋拓殖株式会社(以下、南洋柘殖)を比較経営史の方法により分析することを課題としている。 分析対象となる上記2社のうち、台湾柘殖に関する分析は既に一定の蓄積水準に達しているため、第2年度(平成22年度)においては、(a)台湾柘殖に関する分析のいっそうの蓄積、(a)南洋拓殖に関する資料収集、基礎情報の整理、データベースの構筑、などの基礎作業の進展、(b)そうした基礎作業を踏まえたうえで、台湾拓殖との比較分析の進展、の3点に取り組んだ。(a)については、台湾拓殖の社債発行をめぐる政府、金融機関との交渉過程を内部資料に基づいて明らかにした論文を公表した。(b)については、前年度(平成21年度)から引き続き、国立公立書館つくば分館に所蔵された閉鎖機関関係資料の調査を実施し、南洋拓殖が政府に対して提出した公文書に関する調査を進めるとともに、営業報告書、株主名簿、東京株式取引所「月報」などを用いて同社の経営に関する基礎情報を整理し、これらの作業をおおむね完了した。(c)については、南洋柘殖と台湾柘殖の金融構造の比較分析、および南洋柘殖の内部資本市場に関する分析を行った論文を作成し、現在投稿準備中である。
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