2011 Fiscal Year Annual Research Report
中小同族企業における後継経営者のリーダーとしての自己成長に関する研究
Project/Area Number |
21730303
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
八木 陽一郎 香川大学, 地域マネジメント研究科, 准教授 (90452680)
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Keywords | リーダーシップ / 内省 / 組織行動 / 中小企業 / 後継経営者 / 同族企業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中小同族企業の後継経営者に焦点をあて、先代経営者から事業承継を受けた後にどのような要因とプロゼスによって後継経営者が優れたリーダーへと成長するのか、あるいは成長が妨げられるのかについて明らかにすることである。 こうした研究目的に対して,本研究では特に後継経営者自身によるリーダーへの自己成長の過程と要因に焦点をあてた.成果は理論的,実証的,実践的の3つに分けて整理することが可能である.まず,理論的な成果としては,後継経営者を自己成長させる要因として「内省」に注目し,その概念を哲学,脳研究,心理学,教育学など様々な分野の先行研究を基に整理し,定義し,精緻化したことが挙げられる.内省は,自己言及のパラドクスに陥りやすく客観性を維持した上での議論が難しいこともあり,経営学分野では特に研究が遅れてきたテーマであったが,こうした問題を整理し今後の研究の発展に新たな道筋をつけたと考える. 次に,実証的な成果としては,信頼性と妥当性を十分に検証した上で内省を測定する尺度を開発したことがあげられる.この尺度を用いて3505名の経営者から得た回答を分析し,内省がリーダーシップの有効性に対して有効であることに関する仮説を実証することが出来た.なお,分析においては,内省以外の要因も考慮した複数モデルを形成し,階層的重回帰分析を行い,内省の持つ相対的な影響力の大きさも明らかに出来た. そして,実践的な成果としては,内省経験が多い経営者と少ない経営者の比較分析を基に内省をいかに深めるかについてのステップを明らかにすることが出来た.こうした知識を通じて,後継経営者が自己成長をする上での実践的な指針を提供出来たのではないかと考える. こうした研究成果は,2012年5月5日に白桃書房より発刊された「内省とリーダニシップ:後継経営者はいかにしてリーダーへと成長するか」にまとめられた.
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